- ヒビは “光の乱反射” と “防塵防滴の低下” を同時に招く。
- 自撮り(前面)はモヤ・白飛び、逆光のゴーストが目立ちやすい。
- ズーム(望遠/ポートレート)はAF迷い・コントラスト低下が出やすい。
- 表面カバーガラスの亀裂か、レンズユニット自体の破損かで対処が変わる。
- セロハンテープや瞬間接着剤は厳禁。内部汚染・曇りの原因に。
なぜヒビで写りが悪化する?— 光学のカンタン解説
スマホの外側にあるのは “レンズカバー(サファイア/強化ガラス)” が一般的で、ここに亀裂が入ると光が割れた面で乱反射し、フレア(にじみ)やゴースト(光のリング)が発生します。細いひびでも、夜景や逆光のような明暗差の大きい場面では強く現れます。また割れ目は微細な隙間となり、水分・油分・微粉塵の侵入路になってしまいます。
豆知識:望遠レンズやマクロは開口が小さく屈折角が大きいため、同じヒビでも影響が相対的に強く現れやすい傾向があります。
前面/背面・各モードで起こりやすい症状
| カメラ/モード | 見え方の変化 | よくある状況 |
|---|---|---|
| 前面(自撮り) | 全体が白っぽいモヤ、光源付近の放射状の線、夜の街灯で光が広がる | 室内のLED、夕暮れの逆光、自撮りライトON時 |
| 背面・広角 | 逆光でゴーストが複数出る、コントラスト低下、黒が浮く | 日中の屋外撮影、夜景スナップ |
| 背面・望遠/ポートレート | AFが迷う/遅い、輪郭がザワつく、被写界深度の計算ミス | 2〜5倍ズーム、人物の背景ボケ撮影 |
| 超広角 | 周辺光量が不均一、点光源の星形にじみ | 室内のスポットライト、夜景のイルミ |
| マクロ | 細部がダブる、コントラストが立たない | 料理・小物の寄りショット |
| 動画 | パン時のフレア帯、レンズ内反射ループでちらつき | ナイトモード動画、コンサート照明 |
自分でできるセルフ診断(2分)
- LEDライトを点光源に:真っ暗な部屋でライト(別端末でも可)を一点に当て、ひびの位置と光のにじみ位置が一致するか確認。
- 白壁テスト:白い壁や紙を画面いっぱいに。ムラやスジ、にごりが出るかチェック。
- ズーム階段:1x→2x→3x…と段階的に拡大。特定倍率で急にピントが迷うなら望遠側への影響が大。
- 前後比較:前面・背面で同じ被写体を撮り、症状の出方を比べる。
- 保護フィルムの有無:カメラリング保護ガラスを貼っているなら一度外して再確認(割れがそれなら交換で改善)。
やってはいけない対処
- 割れに瞬間接着剤や透明レジンを流し込む:揮発物が内部の曇り・コーティング劣化を引き起こします。
- セロハン/ビニールテープで塞ぐ:糊が溶けて白濁・べたつき汚染の原因に。
- 強く押し当てて撮影:ガラス片が二次破損し、さらに割れが進行します。
- 防水を過信して水際撮影:耐水性能は事実上ゼロに低下していると考えてください。
応急処置はある?— 最小限の“悪化防止”だけ
応急処置は撮影品質の回復ではなく、あくまで悪化防止が目的です。屋外で粉塵や水滴のリスクがある場面では、乾いた清潔なマイクロファイバーで表面を優しく拭き、持ち運び時はカメラ部を内側にしてケースで保護。どうしても光源が入るなら、角度を変えて光を避けるとフレアが軽減します。
修理は何を交換する?— ケース別の目安
多くの機種はレンズカバー単体の交換で改善します。ヒビが浅く、内部レンズ群やセンサーに損傷がなければ交換後に写りは元通りが期待できます。以下は目安です。
- カバーガラスのみ割れ:レンズカバー交換で解決。撮影テストでAF/手ぶれ補正も確認。
- 内部に曇り/粉塵:カバー交換+可能ならクリーニング。重度はユニット交換の検討。
- AF異音/手ぶれ補正が暴れる:望遠ユニットの機械損傷の可能性。ユニット交換が現実的。
- 前面カメラの白モヤ:パネル内側の汚れ/防水シール剥離も疑う。分解清掃が必要。
※機種・在庫状況により所要時間は異なります。店頭で事前診断のうえ最適解をご案内します。
よくある質問
Q. 写真アプリのフィルターで誤魔化せますか?
A. 軽度のコントラスト低下は補正できますが、フレア/ゴーストやAF迷いはソフトでは根本解決しません。
Q. 防水はどのくらい落ちますか?
A. 亀裂がある時点で封止が切れており、スペック上の耐水等級は信頼できません。雨天・浴室・海辺での使用は避けてください。
Q. 背面ガラスのヒビとカメラのヒビ、どちらが危険?
A. 写りへの影響はカメラレンズ面のヒビが直結。防水面では背面割れも危険ですが、カメラの割れは光学+防水の二重リスクです。
レンズカバー交換で直るのか、ユニット交換が必要か。店頭で実機テストし、最短即日でご案内します。データはそのまま。
再発予防と“写りの守り方”
- カメラリングに干渉しない薄型ガラス/サファイアカバーを正しく装着。
- ケースの段差でレンズ面を直接接地させない設計を選ぶ。
- 粉塵が多い場ではレンズ面をこすらず、ブロワー→拭き取りの順でケア。
- 逆光での重要撮影は角度を変えてフレアを回避。手でフード代わりに影を作るのも有効。
- 落下歴がある端末は、望遠ユニットの動作音やAF速度も定期チェック。
リペアフォース秋葉原店
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1-14 第2東ビル303 rampart店内
営業時間:平日 12:00–20:00/土日祝 11:00–19:00
本記事は一般的な解説です。実際の症状は機種・損傷程度・環境で変わります。店頭での実機確認をおすすめします。