防水仕様でも浸水するケース/経験から学ぶ予防法
2025.11.01
町田店
防水仕様でも浸水するケース/経験から学ぶ予防法|リペアフォース町田店
基礎知識なぜ“防水”なのに浸水するのか
スマホの防水は多くが IP67〜IP68 などの規格で表記されますが、これは製造時の新品状態で、メーカーが定めた条件下(常温・静水・所定の時間・所定の深度)での耐性を示すものです。実利用では、経年劣化・衝撃・温度差・圧力変化・化学物質などが重なり、気密が維持できない場面が少なくありません。
気密を守る要素:防水パッキン/接着剤(フレーム・バックパネル・ディスプレイ)/マイク・スピーカーのメッシュ/SIMトレイやサブマイク周りのシール/ボタン周りのガスケット など。どれか一つでも弱ると浸水リスクが急上昇します。
事例現場で多い浸水シーン10選
1)お風呂・サウナの蒸気と温度差
高温多湿は接着剤を軟化させ、内部と外気の温度差で結露が発生。防水ラベルが反応して保証外となるケースも。浴室内での使用は避けましょう。
2)雨天の長時間ナビ
自転車やバイクのハンドル固定で走行風+雨滴の連続打撃=動的加圧となり、メッシュ部から水が押し込まれることがあります。ケースやポーチで物理遮断を。
3)プール/海水(塩分・塩素)
塩分・塩素は腐食促進剤。乾いた後も残渣が通電不良の原因に。耐水袋なしの持ち込みは厳禁です。
4)汗・ポケット内の湿気
夏場の屋外作業やランニングで、スピーカーやマイク開口部に汗が染み込み、マイク不良やFace ID不調のトラブルへ。
5)落下でフレーム微変形のまま使用
見た目が無事でも、フレームのわずかな歪みで画面・背面の接着が弱り、次の雨で浸水する事例は多数。出っ張ったカメラ側からの着地は特に要注意。
6)ガラス割れ・画面浮き
目に見える破損はもちろん、背面の微小クラックやバッテリー膨張による画面浮きも水路になります。
7)自己修理・非純正接着の再封止不良
防水テープ未使用や清掃不足のまま閉じると、メッシュやケーブル根本から毛細管現象で侵入します。
8)超音波洗浄器・高圧水流
イヤホンやアクセサリ用の超音波洗浄機にスマホを入れる、強い水流をかけると、短時間で内部に到達します。
9)登山・機内・温泉地での気圧&温度変化
気圧差で内外圧のバランスが崩れ、弱った部分から浸水することがあります。温泉成分も腐食を加速。
10)古いケース・フィルムの“圧迫”
硬化したケースが局所的な力をかけ、接着が浮くケース。手汗や洗剤の影響も重なるとリスク増。
兆候浸水の兆候チェック
- 画面の一部がにじむ/タッチが暴走する(ゴーストタッチ)
- スピーカーからの音がこもる・バリバリ鳴る
- Face ID/指紋が一時的に使えない
- 充電口が反応しない・錆色(緑青)が見える
- カメラに白いモヤ・水滴跡
- SIM未挿入表示/圏外が続く
- リンゴループ・再起動を繰り返す
内部水没インジケータ(LCI):多くの機種に湿気で色が変わるラベルがあり、赤変していると“水濡れ反応あり”。
見えない場所にあるため、店頭での分解確認が確実です。
初動NGな応急処置/正しい初動
やってはいけないこと
- 充電する(ショート・腐食進行の原因)
- 振る・叩く・強く吸う(さらに奥へ押し込む)
- ドライヤーで温風を当てる(結露&接着軟化)
- ライスに埋める(粉が侵入・乾燥不十分)
- 海水・風呂水に浸かった個体をそのまま放置
正しい初動
- 電源を切る(可能なら即時)
- 外装を拭く(端子・メッシュは押し込まない)
- ケース・アクセサリを外す(通気性を確保)
- 端子キャップやSIMトレイは無理に触らない(開閉で水路が変わることがある)
- シリカゲル等の乾燥剤と一緒に密閉し静置
- できるだけ早く専門店で内部洗浄(塩分・不純物は時間とともに腐食を広げます)
予防予防のための日常メンテと持ち物
日常メンテ
- 月1度、外装の目視点検(背面ヒビ・画面浮き・レンズ周囲)
- マイク/スピーカーメッシュの清掃(柔らかいブラシやエアブロー)
- 落下後はフレームの歪みを確認(ケースが固いと要注意)
- バッテリー膨張の兆候(画面の縁の隙間・フレームとの段差)を見逃さない
- 古い防水ケースは更新、パッキン劣化を前提にする
持ち物・使い方
- 雨天・水辺は完全防水ポーチを使用(IPX8相当)
- 自転車・バイクはスクリーンで風雨遮断+防水ポーチの二重化
- 風呂・サウナ・温泉では持ち込まない/脱衣所に待機
- 海・プール後は真水で外装を軽く洗い、しっかり乾燥
- 登山・飛行機・寒暖差の大きい場所は電源オフ+保護ケース内
来店の流れ修理の流れと費用感の目安
- 受付・症状ヒアリング(利用環境・浸水シーンを特定)
- 分解点検(LCI・腐食・ショート有無・基板の状態)
- 内部洗浄・乾燥(真水→アルコール→乾燥。海水・入浴剤は要念入り)
- パーツ交換(スピーカー・充電口・カメラ・バッテリー等の不良部位)
- 防水シール再施工(完全な防水に戻るわけではありません)
- 動作確認・ご返却(データは基本そのまま)
費用感は症状や機種によって大きく変動します。
「内部洗浄のみ」で復旧する事例もあれば、カメラ・スピーカー・充電口・ディスプレイ等の交換が必要な場合もあります。まずは無料点検をご利用ください。
FAQよくある質問
- Q. メーカーの防水表記があるのに壊れました。保証は?
- A. 多くのメーカーは“水濡れ・水没”を保証対象外としています。LCI反応で有償になることが一般的です。
- Q. 乾いたから大丈夫だと思って使っていい?
- A. 一時的に動いても、内部に残った不純物が数日〜数週間で腐食を広げ、突然故障する例があります。点検をおすすめします。
- Q. コーティングで防水性は上がる?
- A. 表面の撥水や汚れにくさは向上しますが、筐体の気密を上げるものではありません。予防策の一つとして併用が有効です。